4/28/06

Sue Hajdu 個展「MAGMA|we are not counting sheep」




a little blah blahのパートナー、スーの個展が4月26日にオープンした。前日まで毎日朝方までインスタレーションの手伝いでギャラリィーにこもっていたので私にとっても感慨深いオープニングになった。アーティストが作り上げた真っ赤なベルベットの空間で会期中毎晩2名のパフォーマー(プロのパフォーマーだけでなく素人もいる)が夜の9時から朝の6時までその赤い空間で眠る。インスタレーション空間の一面は結構通行量のある道路に面していて一晩中誰かに見られているという環境で(おまけにウェブカムで一晩中ライブで映像が流れている)眠る事を余儀なくされる。私が個人的に気に入ったのはオープニング当夜はアーティストのスーとギャラリィーオーナーがパフォーマーだった点。外ではDJの音楽に合わせてパーティーが繰り広げられる中でオープニングの主役が死んだように寝ているというシニシズム!そして2日目の昨日は私のパートナー・フィリップと私がパフォーマーに。真っ赤な空間で眠る事に。ひっきりなしに訪れる通行人、写真をとる人のシャッターの光、窓を叩いて私達を起こそうとする酔っぱらい...面白い経験だった。ちなみにフィリップは一睡も出来なかったらしい。私は...恥ずかしいくらい熟睡してしまった。(笑)

下記は今月発行のARTiTに私が寄稿したプレビューの抜粋:

「自分の言動・発言が自分より大きな何かにコントロールされていると意識する事が日常でどれ程あるだろうか? 国の政治・社会体制や宗教、または各種メディアからの情報に知らず知らずに管理されている自分という存在。共産主義の下で振り回される人々に同情したり、ナチスに狂酔した人々を批判するのは容易だが、自分の生活も実は様々なイデオロギーの暗示・洗脳の下に成り立っているという事実は忘れがちである。

サイトスペシィフィック・インスタレーションと、ベトナムではおそらく初の試みであるアートパフォーマンスのオンラインライブで構成されるスー・ハイドゥの個展は我々のこの麻痺しかけている意識を刺激してくれるものになるだろう。

天井には複数のミラーボールが輝き、魅惑的な赤いベルベットの布で全体が覆われたギャラリー内部の中央にベッドが置かれ、2人のパフォーマーは“羊を数える必要もなく”ひたすら安眠を貪る。この光景は観る者にオルダス・ハクスリーが「すばらしい新世界」(1932年出版)で描いた<暗示教育により“管理されている”という意識がなく皆が生活に満足している世界>に生きる人々を彷彿させるかもしれない。

豪華絢爛なインスタレーションとその中で「死んだように」眠るパフォーマーとのシニカルな対比は上記したイデオロギーとの関係性だけでなく、観る者に様々な事柄について考えさせてくれるだろう。」

会期中(5月7日まで)のオンラインライブ(日本時間夜9時から朝の9時まで)はこちらから:www.galeriequynh.com